以前から「和の心を大事にしたい」という家内。
侘び寂びや物を大事にする日本人ならではの気持ちが強いのでしょうね。
(もちろん私との会話でツッコんでくる関西人でもありますが)

その家内が最近熱中しているのが「金継ぎ」。
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割ってしまった愛用のお皿や器を漆で接合し、金粉を蒔いて磨くことで、再び使えるようになるだけではなく、壊れる前よりも愛着が持てるようになるのだとか。
Re-Useだけではない、いわばRe-Born。

更に最近は自分が学ぶだけではなく、身に付けた技法をもっと広めたい、と考え始めて開設したのがこちら。↓


垂水のお店を借りて金継ぎワークショップ(体験型講座)を開いたりしております。
ご興味ある方はぜひ。


さてその金継ぎを行うには色々な道具が必要なのですが、その中で釣りに関係するのが表題の「鯛牙棒」。
(「たいきぼう」と読みます。)

金粉はいくつか種類がありますが、例えば「丸粉」と呼ばれるように形状が極めて小さな球体ですので、それに光を当てても乱反射してしまい金本来の輝きが出ないのですね。
それで仕上げにメノウの棒など固くてツルツルの棒で磨き上げることによって丸粉をつぶして表面を滑らかにし、接合部分が明るい金色に輝くようになるとの事だそうです。

そしてその磨きに使用する棒先の材質でも表面の滑らかさと硬さのバランスが最も優れているのが
大型天然真鯛の牙
なのだとか。
養殖の鯛は柔らかい配合餌を食べているため顎や牙も小さいので、貝殻などもバリバリ噛み砕いて育った天然真鯛の大きなのがいいのでしょう。


今年2月には明石釣原人さんから55cmの天然真鯛をいただいて(原人さんその節はありがとうございました)その牙で作ってみたことがありました。
その時の鯛牙棒は家内が今も愛用しています。

ただこれも長く使うと鯛牙表面の硬い部分が磨耗してくる消耗品でもあるのです。

もっと作っておきたいな、と思っておりましたところで、須磨のキス釣りがらみでお近づきになれました伯楽の大家さんと先日須磨海岸にて、伯楽の大家さんのお知り合いの方が平磯海づり公園で大きな鯛を釣った、というお話をお聞きしました。

厚かましくも「その牙部分をいただけませんか?」とお願いして快くお送りいただいたのがこちら。
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こりゃでかいや。
それもその筈、平磯海づり公園の今年の真鯛記録賞を更新された
72cm
の真鯛の顎だったのですね。これはびっくり。
しかもそれを釣り上げられたのは荒磯明石クラブの会長さんなのだとか。
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これはすごいブツですよ
荒磯明石クラブの会長が釣られた72cmの天然真鯛。
明石の港に水揚げされたのではないので厳密には明石鯛とはいえないかもしれませんが、まあ明石も平磯も地球規模で見るとほぼ同一地点でしょう。

鯛牙棒に使えそうな牙はこのうち上側の6本。
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使用する棒は実用上は割り箸でもよいのですが、せっかくいただいた貴重な大型の牙ですからしっかりした柄に付けましょっと。
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ターレンス ヴァン・ゴッホ ビジュアル筆4号です。

これをもったいないですがニッパーとラジオペンチで毛と金属パイプを毟り取ります。
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牙はダイヤモンドやすりで底を削って接着性を良くしたら
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瞬間接着剤でしっかりと一次接着します。
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糸を巻いて漆を塗り、硬化したら完成です。
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小さめの歯は糸を巻かず直接漆で固めます。
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完全に硬化するまでまだ使用できませんが、またうれしいツールが増えたと家内が喜んでおります。

伯楽の大家さん、ありがとうございました!
荒磯明石クラブの会長さんにも大変喜んでいたとよろしくお伝えください。

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